いやはや、目の前の現実って・・・まさに浮雲と言おうか、淀みに浮かぶ儚き水泡なんですね。
社会のスピードがどんどん速くなってきて、必死に変わらぬものにしがみついて、なんとかこの非常事態を過ぎやろうと思ってはいるものの、その変わらないと思っていたものが、ついこの間登場して一般化したものや、偶然の産物だなんて。嗚呼・・・
東西に渡る下着の歴史が、多数の図や写真で分かりやすく書かれています。
もちろんそれだけを眺めていても驚きの連続なんですが、本書の最大の特徴は、単なる風俗史のスペシャル版と言うのではなく、その<モノ>の変遷を精緻に浮かび上がらせたことにあります。
そもそも「下着」なんて、その定義や概念が生まれてきたこと自体近代の話であり、その以前はというと衣服の一形態か流行の突然変異(!)みたいなものだったのです。
故に面白き事もあるのですが、著者自身が苦労しているように、何が「下着か?」という戸惑いが常にあることも事実です。
衣服とか人間の行動は、こうやって改めて見てみると、やっぱり現実の社会や経済の反映なんだと言うことに痛感させられます。
皆さん知っています?女性が皆ズボンを穿いていた時代があって、その理由がなんと周りの男性から身を守る為であったとか・・・・
スカートの裾を広げるのが流行り、みな競って広げ始めたと思ったら、扉を通り抜られなくなったり、座った時にはラッパのように開口してしまい、下着が丸見えになって困ったりするんです。(そりゃそうやろ!)
しかしそこは人間の英知(?)見られることが前提の下着が生まれてくると同時に、この広がりに改良を入れて折リタタミ式のスカートが・・・・
いえ。決して笑い話では無いのです。衣服の正史なんです。
そしてブラジャーが生まれたのが、なんと1900年初頭なんですよ!
生まれて100年もたっていない、超新人だったなんて・・・・
もちろん男性の下着も書かれていますが、大体があまり注意を払われていないんです。
これって、なんだか物凄く情けない・・・そう思いません?
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