これでもかこれでもかと事件が起こるのに、これでもかこれでもかと人が群がり、これでもかこれでもかと金が動く。
自己啓発セミナー、退行催眠による前世療法、ネズミ講によるマルチ商法、宇宙意思との交信するチャネリング、カルト教団による洗脳道場、自己暗示や能力開発プログラム、霊媒師による詐欺集金、生命水や奇跡の物質への盲信、目には見えない波動や電子の力・・・・・
どうして?
これをアホだと言って切り捨てるのは簡単だし、俺には関係ないと「平穏な社会生活」を過ごすのも、もちろん構いません。
しかし、どうもこれらの基盤は「平穏な社会生活」から生まれ、ここに深く根ざしているようなんです。
イカガワシイこれらへの糾弾に頷く隣人が、あなたの家族や親族が、そして何よりもあなた自身が「平穏な社会生活」に対する「かすかな違和感」を抱え込んでいるのではないですか?
それでも常識や理性や合理的思考があるから、そんな馬鹿な集団には入らないと言うのでしょか?
そう?本当に?
著者は、単なる暴露本にしたり、断定的な解答を提出することによって、これらの問題を処理しようとはしていません。
かと言って、参加者への同情や共感で立場を安易な良心に置こうとはせず、ふらつきながらも「現実」に向き合おうとしています。
惜しむらくは、表紙絵とイラストが小田原ドラゴン氏によるものなのですが、いかにもギャグ系の茶化した感じの印象を与えてしまっていて、本文切り口の鮮やかさとの落差は大きく、読者を逃がしている気がします。
A「君は、朝起きるのも苦手で、何をするにもドジだし、そんなに美人じゃないけれど、そんな君を僕が守ってあげるよ。君のことを心から愛しているから。」
B「今のままの君が好きなんだ。君自身は気づいていないかもしれないけれど、あなたはあなたのままでいいのだよ。僕はちゃんと分かっているから。」
C「さあおいで、一緒に変わろうよ。本当のあなたに!信じたら必ず変われますよ。」
みんな同じ?
(2002年2月)
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