人の意識に大きな変容が訪れた時、現れてくるのは「性」や「食」や「睡眠」などの生存領域だと頑迷に信じているのです。
有意識層の変化の核は、無意識層の相互流や反転、位相転換を引き起こしているはずだと・・・
「性」や「睡眠障害」などの例は、比較的文献などでも辿りやすかったのですが、「食」に関しては良い書物に出会えませんでした。
あるにあるのですが、著者の大鉈振りの断定文明論ばかりで、多種ある「食」外の社会要素との水脈が結びにくかったのです。
本書の特徴は、実際の食事サンプルが写真入で多数掲載してあり、生の発言が多く添えられている事です。
著者による様々なパターン分類や視点は提示されているのですが、読みながら自分流に再構築が可能でとても刺激的でした。
親達が持っている「自己愛」に対する距離や、変質が、ようやく「食」として語られる事が可能なテキストを与えられました。
食に対する捉え方で、親の世代層に大きな「断層」が見られ、それが家庭科授業の指導要綱の変換が符合することなども、慧眼だと思います。
平易な言葉で紹介してあり、我が家の食生活や知人の食生活を思い浮かべ、「そう言えば、そんな面もあるな〜」などと、気楽でありながらその影響に、暗澹たる気分にもさせられました。
とにかく、ヒント満載です。
(2004年12月)
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