美術通史を読むなんて、学生時代に高階秀爾さんの何冊かを読んだ以来でした。
結果、子どもから「お父さん、この頃その本に随分と入れ込んでいるね。」と言わ
れ、「そうか?」と目を上げた私は、口元には笑みを浮かべ、100円均一で買ってきた老眼鏡をかけ、片手には虫眼鏡を・・・・隠しようもありません。
著者の本は以前に何冊か読んだ事があり、その対象の拾い上げ方に好感を持っていたので、「通史が書かれたとあっては、読まねばあるまい!」と手に取ると・・・・
装丁には横尾忠則さんの絵が踊り、出だしから「美術」って言葉は、明治の初めにつけられた「FINEART」の訳語で、「日本美術」なんて言葉も概念は、江戸時代にもあらしまへんぜ!
「絵画」と「書」の分類も無く、「書画」として一緒くたんだし、彫刻も建築も庭園すら概念が無かったとぶち上げ、それを了解した上で、「その底にいつも変わらずあり続ける日本美術の常数」を眺めてみたいと・・・・・
著者の広い視野から、現在の流布している多数の理論や出典を権威や常識に囚われ
ず、教えてくれています。
また、400点近い図版が、とても綺麗だし、教科書的な紹介だけではなく、こんなものもあったんかいな!という図版も多数あります。
下の注釈からメモした書物は数知れず、472ページが減ってゆくのが寂しく感じる「かざり」「あそび」「アニミズム」の世界でした。
ねっ、楽しそうでしょう。
(2006年5月)
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