このごろ「問題ある人物」を取り上げて論ずるというよりも、「その人の周りの
人々」にその「問題の本質」を見る傾向が増えています。
人は、一人で生きているんじゃない。
「人間」という文字の様に、「人と人の間(関係)」が大事なんだとする金八先生説
が、市民権を得たようです。
問題責任が、自分にあるのではない(!)と言われているようで、「自分の荷」を他人に預けたような気になってホッとした反面、「他人の荷」を押し付けられた様でもあり、釈然としない気にもなってきます。
この本で語られていることは、人間の悪の部分も同様に、「人間関係」の中で生み出されているということのようです。
しかも、作者は意識していないのでしょうが、それら人間関係の中に、「医者」も含まれているということが、文章の中に垣間見えます。
・・・・問題とされて、従えてこられた少年の母親の天使の様な顔を見て、「あ〜ぁ、あんたには一言もしゃべる気がないよ。次の患者までの20分間どう過ごそうかな」・・・・
などの感想が書かれているのです。
こんな箇所など読むと、
「そうだな、医者や先生、親だって感情の固まりだよな。」
と思うと同時に、
「そんな風に、自己感情の疑念も感じずに、自分を無条件肯定している「医者」や
「先生」なんかに、視てもらいたかねえよ!」
って強く思います。
(1997年3月感想文より)
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