この本は、大まかに言って3部構成になっています。
「戦後文学論」「アメリカ文化論」「在日朝鮮人文学論」の3つです。
戦後文学論では、作者はけっこう力が入っているのが分かります。
ただ、「古き良き時代」を懐かしんでいる雰囲気が浮き上がってきてしまっている気がします。
アメリカ文化論の方は、随分とキツイ言い方をしています。
映画や文学などを論じながらも、アメリカに対して直接的な論調で、そうでもしないと「届かない」もどかしさを著者が感じているのでしょうが、損をしている気がします。
最後の章は「恨み」にも似た情念を感じました。
通読してみて、著者の気持ちが先に立ち上がっている分、こちらが自然と引いてしまい、なんかな〜という印象を抱いてしまいます。
しかしよく考えてみますと、これら著者の「立ち居」をそれぞれのテーマに対する
「作者の姿勢」として読んでしまっているのですが、本当のところは、「私の」「それら問題との距離」を表しているようにも思えます。
特に在日の問題は、
その文体じゃダメやろ!
一人一人の深層は、もはや違うはずだし、問題の重心は、違うところに移行してし
まっているのだ!
でも・・・・・・俺って、知らないことが多いな・・・・
ダメだな・・・・チクショー!!!
なるほど、こりや、「恨みつらみ」だわな。
(2007年10月)
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